PMI(購買担当者景気指数)は、相場に大きな影響を与える指標の一つです。毎月発表されるPMI速報値は、米国経済の現状や将来を反映し、その結果は相場に瞬時に反映されることが多いです。 この記事では、PMIの構成要素を詳しく分析し、それぞれのデータが相場にどう影響するのかを解説します。
PMIとは何か?その重要性を再確認
米国のPMI(購買担当者景気指数)は、製造業やサービス業の経済活動を評価するための重要な経済指標です。この指数は、企業の購買担当者へのアンケート調査に基づいており、企業の新規受注、在庫、雇用、供給者の納期などの要素が総合的に評価されます。
PMIの数値が50を上回れば景気拡大、50を下回れば景気縮小を示し、市場では経済の方向性を早期に示す「先行指標」として注目されています。また、GDP成長率とも相関があり、PMIの動向がその後の経済成長を予測するための重要な手がかりとなります。
特に米国では、ISMによるPMIが主要な指標として広く認識されており、毎月発表されると市場はその結果に敏感に反応します。さらに、 インフレ圧力や雇用市場の変化を捉える指標としても活用され、金融政策の決定にも影響を与える可能性があります。
同日に欧州を主要に世界各国でPMIが同日に発表されることが多く、それらの数値から米国PMIの発表に向けて相場が動くこともしばしばあります。当日はよく注意しましょう。
本指数と為替の強弱の基本的な影響は以下です。
- 予想の上振れでドル買い(ドル円なら円安のロング⤴︎)
- 予想の下振れでドル売り(ドル円なら円高のショート⤵︎)
- 前回比較で前回より上昇でドル買い、前回より下落でドル売り
- 予想通りだと値動きは発表ごとに異なる
前回のPMIからわかること
直近のPMI結果は大きく回復しました。3月発表の2月の直近高値以来の最良の成長を示しています。
新規受注の増加は3か月ぶりの強い伸びを記録しています。関税に関連する価格上昇やサプライチェーンの混乱を先取りしようとする顧客の動きに合わせ、米国の製造業への新規受注が増加したことによります。
内訳として在庫が大幅に増加しており、これが2009年の調査依頼最も大幅に増加しました。サプライチェーンの活発化と関連する長期納期がPMIを押し上げるのに貢献したものとされています。
インフレ内容については悪化しています。販売価格のインフレ率は2022年11月以来の最高水準に達しました。価格上昇の発生率も2022年11月以来の最高となっており、ほとんどの場合で関税が原因とされています。さらに納期遅延は2022年10月以来最も深刻な状況となっており、サプライチェーンの混乱の継続もインフレを押し上げます。
データ期間 | 製造業PMI・速報値 | 非製造業PMI・速報値 | コンポジットPMI・速報値 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
予想 | 結果 | 前回改定値 | 予想 | 結果 | 前回改定値 | 予想 | 結果 | 前回改定値 | |
2025年05月 | 49.9 | 52.3 | — | 50.9 | 52.3 | — | 50.2 | 52.1 | — |
2025年04月 | 49.2 | 50.7 | — | 52.9 | 51.4 | — | 51.2 | 51.2 | — |
2025年03月 | 51.8 | 49.8 | — | 51.0 | 54.3 | — | 51.3 | 53.5 | — |
2025年02月 | 51.4 | 51.6 | — | 53.0 | 49.7 | — | 53.0 | 50.4 | — |
データ期間 | 製造業PMI・確報値 | 非製造業PMI・確報値 | コンポジットPMI・確報値 | ||||||
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予想 | 結果 | 前回改定値 | 予想 | 結果 | 前回改定値 | 予想 | 結果 | 前回改定値 | |
2025年05月 | 52.3 | 52.0 | — | 52.3 | 53.7 | — | 52.1 | 53.0 | — |
2025年04月 | 50.7 | 50.2 | — | 51.4 | 50.8 | — | 51.2 | 50.6 | — |
2025年03月 | 49.9 | 50.2 | — | 54.3 | 54.4 | — | 53.5 | 53.5 | — |
2025年02月 | 51.6 | 52.7 | — | 49.7 | 51.0 | — | 50.4 | 51.6 | — |
PMIの主要構成データの内訳
PMIは主に次の5つの構成要素から成り立ち、それぞれが異なる影響度の割合で 総合指数に寄与します。影響度を示す割合は、経済情勢によって変わりますが このようなところです。
1. 新規受注 New Orders
2. 生産(製造業)/事業活動(サービス業)Production/Business Activity
3. 雇用 Employment
4. サプライヤーの納期 Supplier Deliveries
5. 在庫 Inventories
新規受注ー先行指数
PMIの中でも新規受注は、米国経済の需要動向を反映する重要な先行指標です。企業が新規注文を受けることで、将来的な生産の増加が見込まれるため、 経済の好調を示します。
特に米ドルは、新規受注の強さに反応しやすく、好調な結果が出た場合にはドル円が上昇する傾向があります。
生産・事業活動ー現在の経済状態を反映
生産(製造業)や事業活動(サービス業)は、企業の現状の稼働状況や経済活動の強さを測る指標です。
生産活動が堅調であれば、米ドルの強さが示され、ドル円は上昇しやすいです。 製造業PMIの生産指数が上昇すれば、企業の活動が活発であることを示し、ドル円にポジティブな影響を与えます。逆に、生産活動の減速は経済の鈍化を示し、ドル売りが進むことがあります。
雇用ー労働市場の強さと米ドルの連動性
雇用もまた重要な構成要素であり、企業の人員配置がどのように推移しているかを示します。
労働市場が強い場合、消費者支出が増加し、経済全体の底堅さが確認されます。 強い雇用データは、米ドルの上昇要因となり、ドル円が上昇することが多いで す。一方、雇用データが予想を下回る場合、景気後退の懸念が強まり、ドル売りが進む可能性があります。
サプライヤーの納期と在庫ーインフレ指標としての役割
サプライヤーの納期は、供給チェーンにおける遅延や圧力を反映します。納期が長い場合、需要が供給を上回っているか、供給が不足していることを示しま す。 特に供給不足がインフレ圧力を引き起こす場合、FRBの金利政策に影響を与え、ドルの価値が上昇する可能性があります。
在庫もまた経済の需給バランスを測る指標です。在庫が増加することは需要の減退を、在庫の減少は需要の増加を示唆します。 これらのデータも市場の動向に影響を与えるため、注意深く見守る必要があります。
PMIの主要構成データから予想する