本日は2025年3月19日、日銀金融政策決定会合が開催される重要な日となりました。また、明日早朝には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果も発表されます。現在のドル円相場は149円台で推移していますが、両中央銀行の政策決定次第では大きく動く可能性があります。今回は円安・円高の両方のシナリオを公平に分析し、投資判断の参考となる情報をお届けします。
現在の市場環境
ドル円相場は昨日一時149.94円前後まで上昇しましたが、その後は米長期金利の低下や米株価指数の下落もあり上げ幅をほぼ失い、149.30円前後で取引を終えています。この2ヶ月間でドル円は約12円ものドル安・円高が進行しましたが、ここ最近は反発の動きも見られています。
円安シナリオの材料
日銀の追加利上げに対する慎重姿勢
植田日銀総裁が追加利上げに慎重な姿勢を示す可能性があります。米国経済の先行きに対する不透明感が高まる中、トランプ政権の貿易政策が世界経済に及ぼす影響を見極めたいという意図が示されれば、円安要因となるでしょう。
市場では7月または9月の追加利上げが有力視されていますが、植田総裁が米経済の不確実性の高まりなどから追加利上げに慎重な姿勢を示せば、円安が進む可能性があります。現在のマーケット、特に海外勢は日銀の利上げ角度について過度に織り込んでいる節があり、期待外れの姿勢が本日の会見で見られると円買いの巻き戻しが起こる可能性があります。これについては次項解説します。
投機筋ポジションの巻き戻し
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のデータによると、投機筋(非商業部門)の円ポジションは3月4日時点で約133,651枚の買い越しと、データが取得できる1992年10月以降で過去最大となっています。
植田日銀総裁やパウエルFRB議長の会見が市場の期待を削ぐ内容となれば、過去6週間に積み上がった円買いポジションの巻き戻しにつながる可能性があります。その場合、節目となる150.00円や3月3日高値の151.30円前後が上値目途として意識されるでしょう。これについてはSNSを含めメディアでも取り上げられています。円買い投機筋ポジションの利益の確定は、円安につながりますので注目です。
FRBの利下げ見通しの後退
FRBメンバーの金利見通しが上方修正された場合、日米金利差の拡大期待から円安圧力が強まるでしょう。市場では、1~2月の米国のインフレ指標が上振れたことから、FOMCで先行きの利下げ見通しが後退する可能性を警戒する見方があります。ただし、これについては直近3月に下落を見せ、同時に米国経済指標はあまり振るわない結果を見せています。難しくさせるのは、関税の影響がまだ出ていないということです。投資家もさることながら、FRBもインフレに慎重にならざるを得ないことに変わりはないでしょう。
もし年内の利下げ回数予想が3回から2回に減少した場合、ドル高・円安圧力が強まる可能性があります。パウエルFRB議長が記者会見で、インフレ抑制に対する強い姿勢を示し、利下げを急がない方針を改めて強調すれば、米金利の高止まり期待から円安が進む可能性があります。ここのところ一貫して、早期利下げを示唆していないところからすると、株安に対する政治的な圧力も考えられますが、現在の米政権を確認していると、あくまでも健全な調整としている部分が大きく、明確な圧力には至らないことが考えられます。
米国経済の底堅さ
米国の経済指標が予想以上に堅調と評価されれば、長期金利の上昇が続き、日米金利差の拡大から円安圧力が強まるでしょう。FOMCの経済見通しで、米国の実質GDP成長率予想が上方修正され、FRBが米国景気の軟着陸への自信を深めていることが示唆されれば、これも円安要因となります。評価対象として3月のISM非製造業景気指数は53と景気の拡大を維持しています。懸念されるポイントとしては、小売売上高が1月の下落に対して概ね横ばいで推移してしまったことにあると思います。1月の小売の悪さが災害要因でなかったことが考えられます。いずれにせよ、4月以降のデータを確認しない分には、政策を大きく変更することはできません。
円高シナリオの材料
日銀の追加利上げに前向きな姿勢
植田総裁が追加利上げに前向きな姿勢を示す可能性があります。春闘の結果が好調であることが確認され、連合の第1次集計では賃上げ率が5.46%と2年連続で5%を超え、1991年以来34年ぶりの高水準となりました。中小企業でも5.09%と1992年以来33年ぶりに5%を超えており、賃金と物価の好循環の確度が高まっています。
植田総裁がこの結果を一定評価する発言は十分に考えられます。一時的にでも円高に振れる局面となることに違いはないでしょう。追加利上げの時期について具体的な示唆を行えば、円買い圧力が強まります。市場は半年に一回ほどの利上げを織り込んでいますが、もし特に5月や6月の追加利上げに言及すれば、その前倒しが円高圧力を強める可能性があります。
国内金利の上昇傾向
国内10年債利回りは3月10日に1.573%まで上昇し、2008年以来の高水準に達しています。植田総裁が会見で国債利回りの上昇を容認する姿勢を示せば、さらなる金利上昇と円高につながる可能性があります。記者からもこれに関する質問が飛ぶことが予想されます。急激な利回り上昇には国債買い入れを行う旨の発言で3月は円安に振れる局面も多数見られましたが、実際には国債については臨時的な買い入れは見られていません。
翌日には安全資産として非常に強いスイスフランも利下げを行う予定で、そうなれば近いうちに円とフランの金利差が逆転します。安全資産としての評価を金利差により再び取り戻すきっかけとなるか、より注目されると思います。各国と日本の金利差も縮小傾向にあります。リラ、アルゼンチンペソ、円の最弱3トップが続いていましたが、円が買い戻される勢いはあると思います。円指数としても、ドル円160円の時の底入れからは強い回復を見せています。
FRBの景気下振れリスクへの言及
FRBが経済見通し(SEP)でGDP成長率を大幅に下方修正する可能性があります。トランプ政権の関税政策による景気後退懸念が強まっており、2025年1-3月期のGDP成長率は12四半期ぶりのマイナス成長に陥る可能性も指摘されています。
FRBがこうした景気下振れリスクを声明文で明確に言及すれば、ドル売り圧力が強まるでしょう。パウエル議長が記者会見で予想以上にハト派的な姿勢を示し、早期の利下げ再開を示唆すれば、ドル安・円高が進む可能性があります。
ドットチャートの変更
ドットチャートで年内の利下げ回数予想が前回(2回)から増加すれば、米金利の低下期待から円高圧力が強まります。これに関しては、景気後退懸念が市場に出回っていて消費者マインドが後退していることに対する当局からの安心材料を幾分か出すことも可能性として考えられます。
現在のドル円相場を分析